茶園でとれた紅茶の「葉」は、その時点ではあくまで農産物です。名門茶園といわれるところもありますが、農産物はすべて味や品質にばらつきがでることがあります。
クオリティシーズンと呼ばれる年に1、2回だけとれる高価な茶葉も、例外ではありません。
2020年のクオリティシーズンのウバがいい例で、通常のものより味も香りも落ちました。
そのため、スリランカの大手紅茶会社では、工場は持っていても茶園を持たないところがあります。大きな会社、つまり仕上げの工場を持つ会社は、なるべくさまざまな茶園から多くの茶葉を集め、工場の職人の腕で紅茶の味を整えるのです。
逆に、個人経営や中小の茶園は工場をもたず、茶葉の栽培と収穫のみというところが多いです。工場はいい紅茶職人の腕がなくては成り立たたない、つまり個人では経営が難しいからです。
これはあまり知られていませんが、同じ茶葉でも、搬入された工場の技術によって、紅茶としての仕上がりは格段に違ってきます。また工場内でも、さまざまなレベルの紅茶があります。
工場、つまり紅茶を作る人間の技術は、非常に重要です。
そこが紅茶の難しさであり、おもしろさでもあるのです。
現地で紅茶を作るプロフェッショナルたちが誇りと自信を持って送り出す紅茶は、スリランカ政府ティーボードのオークションという上位レースにのった銘柄の中にあります。
一時期だけとれる希少なシーズンものだから、高価だから、名門茶園だから、おいしいとは限りません。
茶園やメーカー、ブランドの名前だけで判断せず、日本人の紅茶通が求めている味と香りをお届けする。
これは、SHA CEYLONが日本で展開するにあたり、第一のテーマです。
ですから、SHA CEYLONでは親族の関係する茶園や工場、また特定の取引先の紅茶を、優先はいたしません。
●スリランカ紅茶業界の隅々から、選び抜いた銘柄を商品化
スリランカ紅茶業界が、たとえSHA CEYLON代表が知り尽くしている環境であっても、リアルタイムで事情がわかる現地スタッフがいても、茶園・工場との付き合いは常に真剣です。
スリランカの茶園、工場、メーカーの経営陣やマネージャークラスは学歴も非常に高く、非常に優秀なビジネスマン。
その間に一流と呼ばれるティーテイスターやブレンダーが味や香りを確認してくれても、結局は仕入れる側が自信を持って日本で販売できるものなのかを判断せねばなりません。
また、スリランカの紅茶の輸出先はイギリスをはじめとするヨーロッパ、中東が主であり、スリランカにとって、日本はまだまだ非常に小さなマーケットです。
日本でも紅茶を愛する多くの個人バイヤーがスリランカから紅茶を仕入れていますが、マーケットとして見られていない国のバイヤーが、その中でハイレベルな紅茶を確保するのは至難の技です。
仕入れるこちら側も、常にさまざまな努力をしなければなりません。
SHA CEYLONはスリランカ現地取引先と常に率直に話しあえる関係を基盤に、まだ日本で知られていない素晴らしい紅茶をお届けしていきます。
●自然の力を最大限に引き出せる職人の力
SHA CEYLONのウバやルフナは、単一産地、生産者ごとに1銘柄にした紅茶です(コーヒーの用語では、よくシングルオリジンと呼ばれています)。
優秀なティーテイスターや紅茶工場の技術によって、その産地の個性とおいしさを両立させるようにしています。
あの世界三大紅茶のウバも、土地と自然の力だけではなく、人の手によってはじめてウバと呼ばれる価値ある紅茶になります。
とはいえ、フレーバーティー以外の本当にいい紅茶には、人工的な香料等の添加物を使うことは一切ありません。
水分の飛ばし方や発酵の具合などで、その茶葉のよさをどこまで引き出せるかは、職人の腕次第、あくまで作る人間の長年の経験と技術によるのです。
SHA CEYLONでは、スリランカ紅茶業界で星の数ほどある紅茶の中から、本当に素晴らしいと判断した紅茶を、皆さまにご紹介していきます。
もちろん、長く販売できる銘柄を育てていきたいと思いますが、常に素晴らしい紅茶探しの旅は今後も続けていきます。
そして、スリランカ紅茶業界のプロフェッショナルたちに「欧州や中東もいいけど、日本のSHA CEYLONに出荷したい」と思ってもらえる取引先に成長し、セイロンティーの真のおいしさを伝えていくつもりです。
●クオリティシーズンでなくても、おいしい
希少で高額、最高の紅茶といわれますが、とにかく味がブレやすい、できあがってくるまでわからないのが、このクオリティシーズンの紅茶です。
特にウバは、クオリティシーズンのものでなくても、非常に繊細な紅茶です。
せっかくのミント系の香りも、保管の間に弱まったり消えてしまったりするので、どこかの工程でミント香を人工的につけている業者もいると聞きます。
繰り返しますが、SHA CEYLONではもちろんそのような加工は一切いたしません。また、そのような嘘を含んだ紅茶を製造するような取引先もありません。
SHA CEYLONでも、今後、クオリティシーズンの紅茶を取り扱う可能性はありますが、今のところ、まずは一年中おいしい紅茶が購入できる店を目標にしていきます。
「あの紅茶が飲みたい」と思った時に購入できるように。
皆さまのお宅の片隅に、SHA CEYLONの紅茶の居場所を作っていただけるように。
以前、ヨーロッパブランドの特定の銘柄が、日本で大変売れていた時期がありました。
日本の紅茶通の方の目がだんだん肥えてきたため、さらに求められるレベルが上がってきたと感じます。それらのブランド紅茶もたまに微妙に味が変わることもありましたが、結局は農産物、前述の理由で当然とおわかりになるでしょう。
ただ、好きな紅茶はどこかにずっとあり続けてほしいという方も多いはず。
いつでもできる限り安定しておいしい銘柄を、どこよりも新鮮な状態でお届けすることを、SHA CEYLONは心がけていきたいと思います。
●まだ、出会えていない紅茶がある
代々続く茶園工場の長老が言っていました。
あまり名前が知られていない意外に小さな工場にも、ものすごくおいしい紅茶があったりするんだよ、と。
たしかに、スリランカで紅茶が競い合う政府管轄のティーオークションでは、まだ日本に入ってきていない銘柄が、あふれています。欧州や中東へと輸出され、日本には入ってこない希少な紅茶、高額な紅茶がまだまだあります。
某国の富豪から直接受注を受けているあるオークション銘柄は受注以外の生産が限られていて、ほかのバイヤーはなかなか手に入らない、ということもあります。
小さな茶園・工場の紅茶でも、スリランカのティーオークションに出品されている銘柄なら、もちろん安全です。
そういう小さな茶園・工場の輸出状況、衛生面、品質管理について、現地スタッフと共にさらに確認しながら、SHA CEYLONが「これなら大丈夫」と納得できる紅茶を、本当にごく少しずつですが、日本の皆さまにお届けしていきたいと思います。
茶葉の美味しさを決めるのは、土と水。
スリランカで長年紅茶業界に生きるプロフェッショナルたちは、どのあたりでできる茶葉がいいのか、非常によく知っています。
近年、経営のために観光客の見学を受け入れる茶園が徐々に増えていますが、本当に味にこだわる茶園では、見学者は一切入れません。
スリランカの紅茶業界で話題にのぼるのは、必ずしも日本でよく名前を聞く茶園のエリアではありません。これは、どこの国でも同じだと思います。
製茶したての状態で袋詰されたウバを、開封したもの。意外にも、茶葉がこんなに黒いのです。開封後は、少しずつ茶系になっていきます