「ベリリウムは昔の話」どころか、技術の発展によって、むしろ増えています。宝石の「処理国」タイから、スリランカにも大量の処理石が入ってきています。こちらはベリリウム拡散加熱処理された原石をカットしたパパラチアサファイアの一例。この典型的な色のほかにも、いまは様々な色の処理済パパラチアが作られるようになりました。サファイア、ルビーのほか、エメラルド、パライバトルマリンなども、さまざまな処理をされた安価な「天然石」が増えています。原石の模造品もありますので、高額なものはよくお考えの上、ご購入を。
私たちはもちろん関係していませんが、スリランカは研磨技術が高いため、タイで処理した原石をスリランカに輸入してカットする業者がいるのです
先日、スリランカに観光で訪れ、採掘地で採掘体験をして見つけた宝石を日本にもってきて調べたら、模造品だった、だまされた、という相談をお受けしました。実は、こういうお話が、続いてきています。スリランカも観光地として人気になり、こういうお話は増えてくるかなと思っておりました。
スリランカで観光客が入れる採掘地は、もはや採掘がおわった跡地だということは、あまり知られていないようです。
スリランカで、採掘現場の跡地は、一般的に観光用に利用されています。たとえスリランカ人のアテンダーがついて、「特別」「普通の観光客は入れない場所」「今回だけ」等という場所も、同様です。スタッフ以外が入れるという時点で、あくまで観光地です。
スリランカで実際に宝石が採掘されている場所は、スタッフ以外入れないことになっています。高価なものを危険を冒して探しているということ以外にも、さまざまな理由があります。
スリランカで、採掘地は大変神聖な場所です。スリランカでは占星術(ジョーティシャ)が生活に根付いているので、入ってくる人間の運気によって、清らかな採掘地が荒らされる危険があると考えています。採掘地に入る前に、専門の占星術者をよび、お清めを受ける等、いろいろチェック事項があるのです。スタッフであっても、占星術により、その日は入ってはいけないと言われることもあります。
採掘時間もあらかじめ決められており、その時間以外に作業はしません。人間が入る時間も決められています。実際の採掘現場には、ほかにもいろいろな規制があり、この規制がゆるいほど、そこに大した宝石はないということです。
そういう決められた人間以外が入れる場所で体験できることは、あくまで観光体験、アトラクションです。ですので、誰もが偶然のように見つかる宝石は、すべて模造品か処理石です。本物であれば、安価なアクセサリーグレードでしょう。
よく考えてみてください。本物の宝石が、その限られた時間で、全員1個ずつ見つかる。これが多少前後していても、高価な宝石を全員にプレゼントしていたら、採掘業など成り立たないと思いませんか。こういうツアーでは、あらかじめ、かごに1個ずつそれなりの宝石を入れておき、観光客が見つけたときの感動を演出しているのです。
中には、そのあと研磨工場に連れていかれ、見つけた原石を削ったり、研磨職人がホテルに訪ねてきて「営業」されたりすることもあります。これも、よくあるコース内容です。こういうところで宝石を購入するのは、普通のお土産ものと同じく、自己責任と思ってください。すべて、あくまで一連の観光です。
こういう観光ツアーは、スリランカ人やスリランカ現地の旅行会社だけでなく、日本の旅行会社や日本人も開催しています。
採掘がおわった場所といっても、現地スタッフはお客さんを迎えたり、川をさらったり地底にもぐったりする準備や業務をしています。ですので、たとえば千葉県浦安にある夢の国のように、あくまでも観光体験として、楽しんでいただきたいと思います。最初から「観光」と思っていただければ、採掘現場の雰囲気を見たという体験となり、スリランカのイメージダウン、とはならないでしょう。
なお、私達はこういう体験ツアーとは一切関係ありません。代表の母がスリランカ現地でホテルをいくつか経営しておりますが、現地観光ツアーは一切開催しておりません。お問い合わせもご遠慮いただきたいと思います。
何件かこういうお問い合わせがありましたので、ブログに書かせていただきました。