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パパラチアの中抜けと色だまり


パパラチアサファイアの商品説明でよく見る「美しい色だまり」という言葉。

要は、センター部分の「中抜け」、その外側のことです。

確かにパパラチアに多くて、非常によくある特徴のようなものです。でも、はっきりいって、中抜けしてない方がいいに決まってます。

中抜けがない方が、もちろんお値段だって上がります。

 

ですが、ジュエリーに加工されてしまうと、欠点として指摘されることは少ないです。ある程度大きめのルースになると中抜けしていないもののほうがめずらしいし、地金で加工されると薄い色も気持ち濃く見えるようになり、中抜けも目立たなくなるからです。だから、パパラチアで、そこそこ綺麗、それで非加熱なら、もう言うことなし、と世間ではそうなっています。

でも、せっかくの高額なお買い物、その色だまりが本当に好きかどうかで判断していただきたいですね。いくら高額で売れる希少な非加熱・大粒でも、「綺麗じゃないな」と思ったら、当店では仕入れを見送っています。

 

写真のパパラチア(光によってこんなに違って見えますが、同一のルースの写真です)は、中抜けがよくわかります。

そして、その周囲、これがいわゆる「色だまり」です(笑)…。

これは本当にすごくきれいだと思います。当店でも、「美しい色だまり」って、本当にあるんだな、と思ったお品です。

もし、全体がこの色だったら???

それはもちろん、もっと美しいと思います。

ですが、こういう薄い色のパパラチアで、輝いているものって、なかなかないのです。

すごく薄い色のパパラチアは、大体やや曇ってて、つやがない。何かしら内包物があって、「もやっ」としているんです。

でも、こちらは透明度がすごいし、色がまた、なんともいえません。

ごく薄い色の蓮の花が、朝露に濡れているような感じです。こちらの一石は、パパラチア上級者向き、というのでしょうか。いくつかパパラチアをお持ちで、新しいもの、今まで見たことがないものをお探しのお客様向きではないかなと思います。

こちらは中抜けがあっても、本当に美しいので、当店の「シャアセレクト」(当店おすすめの一流品)にしています。

 

この美しさ、爪留めしてジュエリーにするのがもったいないぐらいです。

いえ、ジュエリーになったら、本当はもっといいのかな? 

美しすぎるルースは、こういうところが悩ましいです。

 

こちらは、オーダー専門店でプロの職人さんにデザインから相談していただきたいです。

この品質と美しさを、さらに生かしていただきたいですね。

 

 


センター部分の色の中抜けはカラーサファイア全般によくある特徴です。この中抜け、実はルースの高さ(厚み)が大きく関係していることがあります。高さがあれば必然的に色の密度が高くなるため、中抜けは目立たなくなります。カラット数の割に大きく見えるルースは、フェイス(表面)に対して高さがないぶん、センター部分の色が薄く見えることがあるのです。ですが、カラット数の割に小さく見えるルースは、お客様にあまり喜ばれません。大半の研磨職人は悩みつつも、なるべくフェイスが大きく見えるように(厚みよりフェイス優先で)仕上げます。底面のカット等でも中抜けは目立たなくなりますが、カラット(0.2g)単位で大きさを競う世界なので、どんな方法で美しさとカラットを両立するかは、担当する研磨職人によるでしょう。